“空き家、空き部屋活用”でひとり親を支援したい!「特定非営利活動法人リトルワンズ」を訪問

●区民相談から

 「転居をするので、空いた部屋をひとり親家庭に活用してほしい」という相談を受けました。

 オーナーは元保育士。部屋を貸すと同時にさりげなくサポートができたらうれしいとのことでした。私たちには不動産に関するノウハウはありませんので、ひとり親世帯への居住支援をおこなっている「リトルワンズ」(杉並区)を相談者と共に見学も兼ねて訪ねました。https://littleones-lesson.com/

 

特定非営利活動法人リトルワンズ代表理事 小山訓久さんと

 

●ひとり親支援を行う「リトルワンズ」

 リトルワンズはもう10年もひとり親支援を行っており、特に居住支援において実績のある団体です。代表の小山訓久さんは、アメリカの大学を卒業され、現地でのDV被害者支援の経験をお持ちです。日本の母子家庭への支援の必要性を感じ、空き家対策ともなるひとり親への居住支援をする団体を立ち上げたそうです。

  伺ったのは、阿佐ヶ谷駅の近くのビルの2階。シングルママと子どもたちの集う広々とした明るい広場スペース(おやこカフェ)があり、テーブル、おもちゃや絵本、楽器などが置いてあります。くつろぎながら、仲間と出会う場でもあり、月に一度はプロの演奏家を呼んで演奏会も開かれるそうです。

 

ひとり親の半数以上が貧困、生活支援と共に居住支援を

 ひとり親の半数以上が貧困といわれます。就労率は高いのに、所得が低く、したがって、家計に占める家賃の負担は大きいものです。DV被害や突然の離婚など緊急に住宅や職が必要になることもあれば、子どもが大きくなったので、住み替えが必要になることもあります。住まいやその他様々な相談に乗りながら、いっしょに問題解決をしていくという伴走型の支援は多くの母子を勇気づけてきています。

 

“空き家、空き部屋活用”

 相談者は、転居により部屋が空くので、ひとり親に活用してほしいと考えています。小さな子どもとその親を応援するにはどうすればよいか、そのためのリフォームや今後、どのような手続きが必要かを含め、小山さんからは様々なアドバイスをいただきました。

 まずは、一定の基準を満たしているのであれば、“セーフティネット住宅”(※)として登録することを勧められました。オーナーの希望が叶い、ひとり親世帯も喜ぶ、そんな居住空間が生れることが楽しみです。

※セーフティネット住宅とは?

https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/system.php

住宅セーフティネット法に基づく制度。登録住宅になることで、オーナーには改修費用への助成、入居者は家賃補助などの支援が受けられます。

 住宅セーフティネット法は住宅を確保するのが難しい人(低所得の高齢者、障がい者、ひとり親)への福祉支援施策であり、空き家活用でもあります。行政(住宅関係部署と福祉関係部署)と不動産業界と中間支援組織(居住支援法人)が協力連携する中で、住宅活用を進めるところが特徴です。

 ここで中間支援法人の果たす役割は大きく、今回、アドバイスをくれた「リトルワンズ」はその一つです。住宅確保の難しい都会では特に、不動産関係団体とひとり親の間に入って、伴走型の相談に乗ってくれるということはどんなに心強いことでしょう。

 

2018年、リトルワンズは優れた居住支援に対して贈られる「ワールドハビタット賞」を国連から授与されました。

 

今後の大田区居住支援協議会に期待

 本来は各自治体に設置された居住支援協議会が同じような支援体制を持つことが理想であり、空き家や空き部屋を提供したいという人と住居を必要とする人とのマッチングができる体制を整えることが求められます。

 空き家が4万件もある大田区。福祉施策と住宅施策の融合で空き家が有効に活用されるように今後の居住支援協議会の働きに注目していきます。