“ごみ”から考える 私たちの生活 その2
捨てたごみはどこにいくのでしょう?
清掃事業のうち、①ごみの収集・運搬・資源回収は各区が行い、②焼却や破砕などの中間処理(清掃工場の管理・運営)は東京23区清掃一部事務組合(以下「清掃一組」)が行うという役割分担をしていることは「その1」でも説明しましたが、ここでは、清掃一組の担っている、②焼却や破砕などの中間処理(清掃工場の管理・運営)についてのご報告をさせていただきます。
- ごみの行方・清掃工場とは
現在、23区内に21(現在稼働19/目黒・光が丘建替え中)の清掃工場があり、昨年は可燃ごみ275万トンが搬入されました。大田区内には多摩川清掃工場(下丸子)と大田清掃工場(京浜島)があります。
清掃工場は800℃(ダイオキシンの発生を抑える)でごみを燃やし、20分の1の容積にし、その焼却灰の一部をセメントの原料として資源化するほか、多摩川清掃工場では、灰溶融炉でさらに高温で燃やし砂状の物質(スラグ)にして土木資材などに有効利用しています。それ以外の焼却灰は東京都が管理する中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場に埋立処分されます。
ごみ焼却により発生する熱エネルギーで発電や熱供給に有効利用しています。熱供給では、たとえば近隣の公共温水プールや高井戸では足湯を設置しているそうです。
- 不燃ごみ処理センター
23区内に2箇所(中防不燃ごみ処理センター、京浜島不燃ごみ処理センター)あり、不燃ごみはここで細かく破砕と選別(鉄、アルミニウムなど)された後、中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場に埋立処分されます。
現在、埋立処分場の処理能力はあと50年と言われています。ごみの減量で最終処分量ゼロを目指さなければなりませんね。東京23区とは別の仕組みでの清掃事業ですが、八王子市は分別をすすめ、埋立て分ゼロを実現しているそうです。
- これは困る!分別はきちんと
清掃工場がもっとも困ることは「水銀の混入」です。水銀は体温計や乾電池に使われていますが、体温計が3本入っただけで、炉を止めなくてはならず、再稼働には多くの時間や費用(1回の再稼働につき、平均200万円)がかかるそうです。他にも布団、金属類など、設備内での詰まりや絡みが清掃工場の安定的な運行に支障をきたします。
2020年度大田区予算では清掃一組への分担金は26億円です。私たちのゴミの出し方が経費負担に大きな影響があるのですね。
- 清掃の今後と課題
大災害の後のゴミ処理のあり方、プラスチックの削減と資源化、学校での環境教育など、様々なテーマの課題をもつ清掃事業ですが、清掃一組と大田区がさらに連携を深める中で、循環型の社会はもちろん、安心安全な社会の構築につながるように注視していきたいと思います。
私たちは日々の暮らしの中で、生活の結果であるごみの行方、その後の“処理”のことをほとんど考えてはいません。しかし限りある処分場、環境への負荷、そして大量生産と消費を見直す必要があるのではないでしょうか。毎日食べ物を買うのと同じように、ごみを減らすことを考えて生活していきたいと思います。