子どもと子育てを応援する地域づくりとは 助けてと言える人と関係性を育てる

10月17日、主催:子ども笑顔ミーティングの学習会で、新渡戸文化短期大学の榊原久子さんのお話を伺いました。山王にある成田山圓能寺が会場として本堂を提供してくださり、30名ほどが集りました。

  

榊原さんは、元和光市子育て世代包括支援センターの(和光版ネウボラ)施設長だった方です。育児不安や児童虐待など子育てに関する問題においては、核家族化や地域のつながりの希薄化、子育ての孤立化などが指摘されて久しいのに状況はなかなか改善されません。

フィンランドモデル、産前からの切れ目のない子育て支援(ネウボラ)は有名ですが、そのポイント、日本の現状の課題を改めて捉えたいと思いました。

 

  

  • 子育て家庭の現状と課題

身近に支援者や相談者がいない。子どもの育ちや育て方を見て学ぶ機会がない。働く妊婦が地域につながっていない。家族背景の多様化に対して対応が不十分、など、課題は多岐にわたっている。

 

  • 母親の育ち方が子育てに影響する

妊娠・出産はそれまでの自分中心の生活から赤ちゃん中心に変わってしまうこと、社会とのつながりやそれまでのキャリアが失われてしまう感覚になること、またそう考える自分への罪悪感など複雑な心情になりがち。また妊娠以前に診療内科にかかっていた、摂食障害だった、学生時代スクールソーシャルワーカーに相談していたなど、出産前からすでにメンタル面でのリスクの高い人が多い。

また親自身がどう育てられたか、ということが自分の子育てに大きく関わる。親自身のアタッチメントが形成されていなければ、子どもからの発信をキャッチすることが難しい。

 

  • 子育ての困難さにどう関わるか。フィンランドのやり方は

子どもの育つ過程がわからない、子どもとの関わり方、生活の仕方がわからない、という困難さに対して、日本では、介入・指導・援助型支援が中心になる。榊原さんは「見て、まねて、やってみる場と機会」「相談における顔のみえる関係構築」「適切な支援につなぐコーディネート」が重要だと力説する。

フィンランドは、対話型支援で、専門職のコーディネーターが「いっしょに考えましょう」という態度をとる。コンセプトは、子どもと親の生活を理解・把握して親が子どもの行動を理解できるように手助けをすること。親の生育歴にまで踏み込み、子どもの最善の利益の保障と家族全体の相談支援を継続的に伴走型で行う。指導ではなく、親自身の自立、乗り越える力を引き出すことをめざす。

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切れ目のない支援というと、サービスが連続している状態を想像しがちですが、フィンランドのネウボラの考え方は、「人」が伴走しているイメージです。

日本では「機関」がサービスを提供しますが、ネウボラはまず「人」です。確かに私たちは信頼できる人に出会うと安心することができます。異動の多い日本の公務員にとっては、伴走型支援は難しいかもしれませんが、ぜひ工夫をして、「安心」を提供できる支援体制を構築したいものです。

 

またフィンランドのように親自身の「自立」をめざすことで、親自身が自信を得、問題解決能力を得ることができれば、地域生活の安定が図られることでしょう。そのためには丁寧に対話型支援ができる人材と社会資源が必要です。フィンランドの場合は、産前産後のサポートから国立であれば大学まで教育は無償であり、教育の機会均等が保障されています。

私たちも子どもたちの育ち、子育て家庭を温かく応援する社会をめざしたいものです。

参考:フィンランド・ネウボラhttps://dual.nikkei.com/article/034/54/?P=2