不登校は問題行動ではない ~新しい視点で不登校を考える集い~

1128日(土)、池上会館にて「新しい視点で不登校を考える集い」が開催されました。主催は、NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネット、NPO法人東京シューレ、不登校を考える親の会・大田です。

2019年の調査では、不登校(1年間に30日以上欠席している児童生徒)は小学校で120人に一人、中学校で25人に一人という割合で、7年連続で増加しています。このうち90日以上欠席している子どもは55.6%で、長期化と、また低年齢化も問題になっています。

                       

この実態を捉えても、早く子ども一人ひとりの状況に応じての学び方や居場所の確保の必要性を社会全体が共有しなければ、生きづらさを感じる子どもたちが増えるばかりです。子どもの貴重な時間をその子どもらしく充実させることができるように、決して追い詰めるようなことをせず、その社会的自立を見守っていく社会にしなければなりません。

この日は、そういう意味で、前半※では、“不登校は問題行動ではない”“休養の重要性”“様々な学びの保障” “社会的自立をめざす観点”をうたった「教育機会確保法」を確認し、「不登校特例校」や「ICTを活用した学習支援」などの先進的な支援施策の事例に学び、後半は不登校当事者の経験談を聞くことができ、“子ども一人ひとり、それぞれの学ぶ権利”の重要性を実感する大変有意義な集会でした。

 

NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク代表理事の奥地圭子さんと

 

不登校当事者の話では、長い不登校で、すっかり遅れた勉強なのに、出会った人へのあこがれや夢を抱くことでの勉強は楽しくてしかたがなく、どんどん進んだ、“学ぶことは学校以外でもいつでもどこでもできる”という話が印象的でした。自ら「意志」を抱いたときのエネルギーはとても大きく強く、「無理強い」はむしろマイナス効果だということが伝わってきました。

 

教育現場にも、社会全体にもまだまだな「教育機会確保法」の理解や周知、環境整備が必要です。民間のフリースクールとの連携を強め、積極的に親子に情報提供すること、フリースクールへの経済的な支援、子どもたちの居場所の確保と、一人ひとりの子どもたちの「学ぶ権利」を訴えていきます。

 

さて、大田区では、この法律を受けて、20214月に不登校特例校(御園中学の分教室)が開設される予定です(場所は現在の池上図書館)。この学びの場が、子どもたちの意欲を育むものとなるように、いきいきとした生活の場になるように注視していきます。

 

※文部科学省初等中等教育局児童生徒課課長補佐 廣石孝さんによる『教育機会確保法と不登校支援施策の充実について』

 

「教育機会確保法」は正式には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」【議員立法 平成28年12月14日公布】