「女はだまっていろ」は時代錯誤 意志決定の場に女性をもっと

「女はだまっていろ」という文化が未だに脈々と続く日本。世界からは大きく立ち後れています。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言「女がたくさん入っている理事会は時間がかかる」には時代錯誤を感じざるをえませんでした。

 

  • 男女格差の大きい日本

男女格差の大きさを国別に比較した世界経済フォーラム(WEF)による、「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」2019年版では、日本は、世界153カ国のうち、121位(2018年は110位)。主要7カ国(G7)で最低でした。

意志決定の場に女性が少ない、つまり女性議員が圧倒的に少ないことも日本の特徴です。

日本の女性議員の割合は、衆議院で9.9%、193ヶ国中167位の少なさです。世界平均は25.1%。欧州は30.1%。ちなみにフィンランドは44%、首相は34歳の女性です。

非正規雇用や性別役割分担の固定化からなかなか開放されないなど、意志決定の場に女性がいないことは、女性の視点、生活の実態からの施策がすすまないことにもつながります。

着実に女性議員を増やしている欧州は、子ども施策・福祉施策の拡充を図っています。

 

先日、ジェンダーの研究をされている進藤久美子さん(アメリカ史学者・東洋英和女学院大学名誉教授)の講演を伺いました。(品川・生活者ネットワークの新春の集いにて)

 

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多くの国では一定程度の女性を議会に入れる特別措置(クオーター制)を取り入れたり、パリテ法(男女同数)を政党に義務付けている国(フランス)もあるのに、なぜ日本では女性の政治参加が進まないのか。(現時点では130ヶ国がクオータ制を導入)

 

進藤さんの分析では、日本の選挙風土には議員の「世襲制」と「地盤」があり、そうやすやすとは女性を擁立したくはないのではないかということでした。(クオーター制を取り入れない理由・男女共同参画基本計画はあっても努力目標を掲げているだけ)

 

このような日本の政治風土の中でどうしたら女性議員を増やすことができるでしょう。

 

  • アメリカにおいて女性議員が急増した2つの要因

アメリカはクオーター制を導入していないのに、近年、女性議員を急激に増やしています。

要因の一つは、マスコミが民主党と共和党の政策の違いを鮮明にし、女性票のゆくえを分析していることが大きく影響しているそうです。

 

特に1970年代からは「中絶」の是非が選挙の争点になり、候補者は女性施策に配慮せざるを得なくなるそうです。たとえば、2008年大統領選挙では、オバマ(民主党)は、人工中絶容認で、女性票56%。対するマケイン(共和党)は、人工中絶反対で女性票43%だったそうです。

 

もう一つの理由は、エミリーズ・リストという政治資金団体の登場です。

1985年に民主党、人工中絶支持の女性上院議員候補者のための政治資金を集めるために設立され、膨大な量の女性候補者のリストを持ち、教育や資金援助をするそうです。高校生も寄付をするほど、多くの支持を集め、強大な政治資金団体に成長しているとのことです。

 

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このように女性が政治への関心を高め、政治への影響力を持つようになったことが、女性議員を多く世に出すようになってきたことの要因だと分析しています。

 

たとえば、副大統領になったカマラ・ハリスさんは、LGBTの問題や刑務所にいる人の労働賃金を上げるなど、社会課題を解決する活動が注目されてきたのだそうです。はじめから政治家になりたいと思っていたわけではないそうです。

 

私たちもあきらめずに、生活の現場からの声を挙げ続けていきたいと思います。だまっていたら変わらないので。

最後に紹介された、女性の権利擁護、理想選挙を唱えた市川房枝さんの言葉、「政治は生活である」が心に響きました。