「最後は自分らしく逝きたい」  在宅での看取りをどう支えるか  「No!寝たきりデー2012」

9月15日 全国町村会館にて  主催:市民福祉サポートセンター

 「いい生き方」ももちろんですが、その延長にある「いい逝き方」も視野に入れていかなければ、とよくいわれます。「No!寝たきりデー2012」開催はもう23回目ということですが、今回は、上記のテーマでの学習会でした。高齢者人口が、総人口に占める割合が23パーセント、2050年には1.2人で一人の高齢者を支えることになるという、超高齢化社会の日本にとって、「介護と医療」と「逝き方」は大事な問題です。

 

在宅医療の国民的ニーズ

現在、病院で亡くなる人が8割。けれども本当は、最後を自宅で過ごしたい人が8割にもなるそうです。

終末期、自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したい、要介護状態になっても、自宅や子ども・親族の家での介護を希望する人が多いといいます。このことから、住み慣れた家で、できるだけ長くすごせるように、また望む人には自宅での看取りも選択肢になるよう、「在宅医療」を推進していく必要があり、そのために、“医療と介護の連携”が大きな課題になっているとのことでした。

 

本当はどうしたいのか、「意志」をはっきり持つことが重要

実際に家族を家で看取った人の体験談、ケアマネ・ヘルパーという仕事の立場で、独居の末期がんの人の生活を支えたチーム医療の事例、また、訪問医療に携わっているヘルパーステーションの看護師、在宅医療に携わっている医者の話等を聞きましたが、その中で、印象的だったことは、「本人や家族の意志が介護や医療の体制の要になる」ということでした。もちろん専門的な医療という視点から支えてくれるのは医師ですが、医療的なもの以外の要素も多く、実際的に様々な「選択と決定」をするのは、本人と家族だからだそうです。

 

医師の在り方

在宅医の役割は、原疾患の治療より、生活を支援する看護や介護の意味合いが強くなり、看護師やヘルパーとのチームプレーが大事なのとともに、病院主治医との連携も大事です。けれども現状では、退院から在宅医療へのつなぎ、「退院調整」や「指導」が十分ではなかったり、病院の医師と在宅医療の医師との連携体制がまだ十分とれていないという状況があるそうです。在宅医の数もまだまだ足りていないようです。

 

尊厳死と安楽死とのちがい

平穏死・自然死・尊厳死は、不治かつ末期状態で、食べられなくなっても人工的な栄養補給をせずに、自然な死を迎えること。

安楽死は患者さんに「苦しい、早く死なせてほしい」と頼まれ、呼吸を止める注射をすること、だそうです。(「平穏死」10の条件 長尾和宏先生より)

 

在宅医療と介護の連携のこれから

厚生労働省の担当官からは、「在宅医療と介護の連携の推進」について、国の方向性の説明がありましたが、地域包括ケア体制、在宅チーム医療のための人材育成、在宅医療連携拠点事業など、イメージはできていますが、事業者が足りないなど、まだまだ実施に向けての取り組みにはハードルがあるようです。

 

何事も“主体的に考える習慣“が、日本人は、欧米人に比べると弱いといわれます。ことに病気のことは、医者任せ、病院任せになりがちです。最後に向かう日々の中で「意志」を持つには、日頃からの心構え”選択をしていくこと“が必要だと痛感しました。そのうえで「介護保険制度」が最後まで自分らしく生きることのための助けとなるかどうか、地域の中で、在宅医療と介護が包括的に機能していくかどうか、自分自身のこととしてもしっかり見ていきたいと思いました。