中高生・応援事業 品川・ティーンズプラザ

2012年9月26日 16時50分 | カテゴリー: 子育て支援, 活動報告・日誌

訪問記 : 品川八潮児童センター「ティーンズプラザ八潮」 

品川区には、25か所、児童センター(大田区でいう児童館)がありますが、そのうちの9館は「ティーンズプラザ」として中高生向けに整備されています。

 

乳幼児から18歳までが交流したり、シェアしたり。

大田区にはないものなので大変興味があり、そのうちの一つ「ティーンズプラザ八潮」を見学させていただきましたので、ご報告をさせていただきたいと思います。 

ティーンズ館ができた経緯

品川区では、平成18年に児童センターから、学童クラブが、全児童対応の「すまいるスクール」として学校に移りました。その分の空いたスペースを利用して、9館を中高生対応に整備することにしたそうです。ちょうど、コンビニの前に座り込んでいた中高生のことが話題になっていた頃です。既存施設をリニューアルしてのスタート。乳幼児と保護者、一般来館の人もいますが、中高生がのびのび自由に楽しく過ごせるように工夫がなされています。一番の工夫は、それぞれの館で“中心になる活動テーマ”があるということでしょうか。 

ティーンズプラザ9館、それぞれの中心的な活動テーマ 

         ・ティーンズプラザ東品川:地域ボランティア活動の啓発・実践・育成

         ・ティーンズプラザ東大井:ものづくり(洋裁・とんぼ玉)・食育・ダンス

         ・ティーンズプラザ中原:音楽・食・遊び

          ・ティーンズプラザ平塚:ダンス(ヒップホップ)

          ・ティーンズプラザ滝王子:スポーツ

          ・ティーンズプラザ東中延:バンド

          ・ティーンズプラザ富士見台:演劇・ミュージカル

          ・ティーンズプラザゆたか:スポーツ(フリ-クライミング・卓球)

          ・ティーンズプラザ八潮:バンド 

「ティーンズプラザ八潮」の場合は、プロ仕様の機材、ドラムセットなどがそろったスタジオが3部屋。照明、音響完備の本格ライブハウスがあります。内外のライブが年に何回もあり、その企画から運営まで、中高生で組織されるバンドクラブの会議(30~40名参加)で話し合われるそうです。そこでは職員は口を出さないのが原則。代表は負担感をなくすために半年ごとに替わりますが、そのことで、多くの子どもが自然とリーダーシップをとる経験になるようです。近年は、“商店街と児童センターのタイアップ”による、商店街活性化イベントへの参加がとても多く、次はゲートシティーホールでのバンドコンテスト「パワードミュージックフェスタ」、出演は小中高の子どものバンド、もう14回目を数え、高校生たちが実行委員で司会進行全て任されているそうです。 

それぞれの館に活動のテーマがある意味 

“高校生ともなると、何か「目的」がないと行動しない。目的があれば、遠くでも出かける。だから、「目的」を持ってきてもらえるような環境を作ろう”、ということで、それぞれの館がテーマを持ったそうです。八潮の場合は、本格的なスタジオがあることで、一生懸命バイトをして、20万円もするギターを買った子ども、ひきこもりだったけれども、ある時、ここでギターにめざめて今はプロになっている子ども・・・。中高生にとって、発表の場である、ライブは、自分たちの思いの具現化、創りあげる楽しさ、裏方で支える喜び、小学生から年配の人とまでの多世代交流、と多くの貴重な体験となっているということです。陶芸をやれば、陶芸が得意な地域の人が指導にきてくれる、というように、テーマがあることで、地域のマンパワーを呼び込みやすいという面もあるそうです。専門的な技術を児童センターの職員はどのように身につけるのか、と聞くと「転勤の度にものすごく努力しますが、プロを呼んで研修を受けることもあります」とのこと。 

児童センターの果たす役割 

館長さんの言葉です。「保育園と学校はなくてはならないもの。でも児童センターは、どうしてもなくてはならないものではない。だからこそ、“あってよかった”という存在になりたい。待っていたらダメ。子どもたちのニーズを知るために常にアンテナをはっていないと」。「ティーンズプラザ八潮」は、日曜日も開館していて、年末年始を除く年中無休。開館時間は火曜日と水曜日だけ夜8時までで、ほかの日は6時まで。「でも本当は、毎日、夜8時までにしたい。中高生たちは部活を終えてから、そのままかけつけてくるのだから。もっと柔軟に施設運営できないのだろうか?たとえば、皆既月食や流星群が見られるときは、夜中、屋上を開放したり・・・もちろん安全に気をつけて」とは館長さんの言葉。

情熱的で常に「子どもが輝く場、活躍できる場をどうしたら、作れるか」ということを考えていらっしゃる、館長さんです。

ドロップアウトしそうな子どもには職員が寄り添い、めったにないけれど、たばこを吸っている子どもを見つけたら、即、取り上げて、「20歳になったら、返してあげる」と叱ることも。 

1階、だれでも集えるラウンジは壁沿いが水族館

1階ラウンジの熱帯魚や古代魚「アロワナ」そして「チョウザメ」も目をひきます。水槽の一つにアフリカ・マラウイのマウスブリーダーという、口で子どもを育てるという魚。「この魚、もう少しで大人になるから。そしたら、口で子どもを育てるのが見られるのだけれどね。」と教えてくださいました。乳幼児の親子もたくさん集う児童センター、親子の会話が弾むように、生き物は効果的、とのこと。心を育む環境とは、ということを学ばせられました。 

開設にあたって、限られた予算の中で、本格的な機材やスタジオを導入することは、かなりのご苦労があったとのこと。でも“子どもにこそ本物を、質のよいものを”、という思いが、子どもたちの生き生きとした活躍に、成長につながるのだということを感じさせられました。ここで活動して卒業した青年が、また中高生の指導にやってきてくれる、いい循環も生まれてきているとのことです。 

児童館の果たす役割の大きいことを感じた一日。「管理」の色合いの強い学校教育とはちがう立場。自由でありながら、調和を創りだし、目的をもって、自立に向かう、地域のコミュニュティーの一員を育む空間。児童館の可能性をさらに追求したくなりました。