基礎自治体は、日常の生活を重視すべき 大田区議会・2019年第1回臨時会のご報告-3
たった一日のイベントに2千万円より
基礎自治体は、日常の生活を重視すべき(補正予算への反対討論)
大田区議会・2019年第1回臨時会(5月22日~29日)のご報告・その3
議会最終日には、全ての議案についての採決が行われます。討論というのは賛成や反対の意見を表明するものですが、目的は賛否の意志を決めていない人に自己の意見に賛同させることにあります。
写真は2019年3月5日、予算特別委員会のときのもの
以下、全文です。
大田・生活者ネットワークは2019年度補正予算第1次に反対し、その立場で討論をいたします。
もっとも大きな割合をしめる防災対策基金の創設に50億円の積み立てをすることは、今後、予想される首都直下地震等の備えとして、区民生活の早期の安定のための復旧活動とその予防のために適切に使われるのであれば、必要なことであると考えます。
しかし、毎年気になるのが「空の日イベント」です。漫然と2000万円以上も投入してたった一日だけのお祭りです。楽しいイベントがいけないとはいいませんが、ほぼ1カ月後には大規模な「大田ふれあいフェスタ」があり、地域的にはそう遠くない同じ臨海部です。空の日イベントとしての特化した意義を問わずにはいられません。
写真は2016年の空の日のイベント
以前も質問したことがありますが、区民へのメリットや国際都市を体感することを目的とするイベントであるならば、その検証がなされているのかがどうかが気になるところです。
大使館ブースが一昨年は39ブースでしたが、昨年は23ブースに減りました。昨年は台風が近づいているという情報があったので、直前にキャンセルしたブースがあったかもしれませんが、はじめから参加を見合わせたところはなかったでしょうか。
一昨年、ある大使館のブースの職員から、「今後、これは何につながっていくのですか」「何をめざしているのですか」と聞かれました。批判をしているというわけではありませんが、少なくとも参加している大使館側には目指すものが共有されていなかったということではないでしょうか。
いろいろな国の文化を知る交流にするというなら「おおたふれあいフェスタ」の多文化共生のスペースでもできるのではないでしょうか。
たとえば、空の日イベントに参加してくれた各国と自治体間の親密な関係を築き、羽田からの運航ルートを紹介したり、日本との歴史的なつながりを紐解いたりして、多くの区民にとって、大田区が世界の玄関口で世界各国と親密な関係を築こうとしている、ということを知れば国際都市を多少は意識できるかもしれませんが、ただお祭りの出店を大使館にお願いするだけでは非常にもったいないと感じます。
また昨年は雨の中の開催となりました。風がひどくなかったのでテントを使うことができましたが、ぬかるむ地面を整地するなど、対応に職員の労力はいかばかりかと思います。野外でのイベントのリスクは天候であり、天候が成功を左右するともいえます。リスクの大きいものに税金を投入することには慎重にならなければならないのではないでしょうか。
子どもを持つ家庭などは特に、家族で楽しめるところを探し求めており、イベントをめがけて参加しますが、裏返せば、日頃は大田区にはあまり遊ぶところがなくて、週末には川崎ラゾーナにいくことが多いという声も聞きます。買い物もできるし、無料で子どもが遊べる室内遊技場もあるそうです。
イベントは元気で動ける人は楽しめますが、高齢だったり、障がいがあったりすれば、たった一日のイベントに、しかも遠い場所であれば、参加しにくいということもあります。
大田区は基礎的自治体として、区民の福祉向上のために、区民が地域の中で日常的に安定的な生活を送ることができることにまず目を向け、税金の配分をしてほしいと願います。
この補正予算には、「子どもの長期休暇応援プロジェクト実施に係る経費」など、賛同できる施策も多い中で、反対をするのは躊躇がありましたが、毎年、漫然と行われているイベントへの見なおしの必要性の意味を込めて、あえて反対し、討論といたします。