東京朝鮮第六幼初級学校・公開授業 「知ることから交流が始まり、理解が始まる」

11月16日、千鳥町にある東京朝鮮第六幼初級学校(幼稚園と小学校)の公開授業を見学に行ってきました。地域の方も大勢来ていました。この学校は1945年に設立され、1961年から今の千鳥町で子どもたちを育んできています。新校舎は2013年に完成、校庭は地域に開放し、地域のサッカーチームが使うなど、地域にすっかりなじんでいます。

 

ようこそウリハッキョ(ぼくたちの学校)へ

 

幼稚園は2歳、年少(3歳)、年中(4歳)、年長(5歳)の4クラスが並ぶ部屋。それぞれ少人数で、保育者と穏やかに、生き生きと活動をしていました。「幼稚園教育要領」を基本として運動やリトミック、音楽や工作、さまざまな体験をするために園外保育もあるそうです。

小学校の方も一クラス10人前後の少人数で、子どもたちはとても真剣に授業に臨んでいました。授業は全て朝鮮語(ハングル)です。家庭では日本語で過ごしているので朝鮮語を憶えるのは大変でしょうが、子どもたちは積極的に手を挙げ、発言していました。教科は日本とほとんど変わりませんが、高学年になると「朝鮮歴史」「朝鮮地理」が入ってきます。

 

 

5年生の授業風景

 

最後に子どもたちが合唱や民族舞踊を披露してくれましたが、表情豊かで自ら楽しんで取り組んでいることが伝わってきました。幼稚園児、小学児童合わせて61名のこじんまりした集団、上級生と下級生の交流も盛んで、助け合い、学び合うよい仲間だそうです。

 

民族舞踊を披露してくれました

 

戦前、強制的に日本に連れてこられて、働かされた人もあったでしょう。でも今は、自らの意思により日本で働き、日本に暮らす3世、4世、5世の人たち。自分たちのルーツを大切に思い、民族の言語や歴史を大事にすることはごく当然の事ではないでしょうか。もし私たちが外国で暮らしたとしても、日本人であることを意識し、日本を大事に思うにちがいありません。

しかし全国に70近くある朝鮮学校においては、高校無償化から外され、今度の保育料無償化からも各種学校と共に外されました。教師の報酬など、学校の運営は大変厳しく保護者の負担も少なくありません。消費税はじめ、納税義務は果たしているのに、なぜ、民族教育をしているというだけで、学ぶ環境を、子どもたちの学びたい意欲をこの国は支えないのでしょう。

合唱を披露してくれた後、司会の小学生が最後にこう語りました。
「自分の民族についても、日本についても学ぶのは楽しいです。いっぱい勉強して国と国との懸け橋になりたいです」と。

子どもたちの「学ぶ権利」を保障する国であってほしいと思います。

校長先生のお話には、「この学校はいつでもオープンです。地域に開放しています。授業の見学を希望される場合は2,3日前に連絡してもらえば、いつでも見に来ていただけます」とのことでした。

「知ることから交流が始まり、理解が始まる」のです。
地域で暮らす子ども同士、親同士が仲良くできなくて、国同士が仲良くできるでしょうか。

東京朝鮮第六幼初級学校の子どもたちの元気な歌声、輝く笑顔を見ながら、分断のない社会を創り得ない大人としての責任を感じるのでした。

 

子どもの成長がよくわかる絵です。
みんなでお芋ほりに行った時のことを絵にしています。
子どもらしいのびのびとした表現ですね。

 

3歳

 

4歳

 

5歳

1年生・楽しい街

 

6年生・自画像