中途視覚障がい者への必要なサポートとは。優れた福祉機器や訓練との出会いを!第4回定例議会・一般質問の背景

緑内障で極度に視力を落とした知人が大田区の地域福祉課で障がい者手帳を取得しました。その同じ窓口で白杖購入を希望すると、リストを渡され、自分で注文するようにといわれたとのこと。リストだけではどう選んだらよいのかわかりません。また生活訓練を受けたいと告げると志茂田福祉センターを紹介されたそうです。しかし志茂田福祉センターでは脳血管障がいや言語障がいの人への訓練を行っており、視覚障がい者への訓練は行っていません。ちなみに大田区には視覚障がい者を対象とした訓練機関は現在一つもありません。

高齢化にともなって緑内障になる人が多いのに、大田区では中途視覚障がい者への対応が十分ではないことがわかります。窓口では正確な情報を提供することが必要です。ましてや視覚障がいを抱えているのですから、その人の立場にたってのサポートを考えるべきです。白杖はどのようにしたら自分に合うものを手に入れることができるか、どのような訓練をどこで受けることができるか、まずは職員自身がその実際を体験し、中途視覚障がい者に伝えられるようであってほしいものです。

より情報を得るために知人は、ガイドヘルパーと高田馬場にある日本点字図書館に行きました。

そこで、まず白杖を手に入れました。身長に合った長さはもちろん、材質、機能もいろいろあり、彼女は地面を転がるローラー付きの白杖を選びましたが、とても使い勝手がいいそうです。一方、リストだけで選んだ人は、そんな杖があるとは知らなかったと残念がっていたそうです。次にスマホを使いこなせるように日本点字図書館に通うようになりました。家には訓練士にきてもらって調理も習っています。今はできることが増えることがうれしくて、訓練に励んでいます。視力がさらに落ちても、できるだけ自立した生活を送れるようにと冷静に自分の生活を見つめているのです。

 

彼女の前向きで、勇気ある性格もあるでしょうが、日本点字図書館や訓練士、すぐれた機器に出会って、生活を支えられているという実感があるからこそ、展望を持てるのではないでしょうか。

 

この機会に私自身も視覚障がい者へのサポートの実態を学ぼうと、日本点字図書館※に行ってみました。

 

図書館としての本やCDの貸出し以外に、視覚障がい者のための“よろず相談室”の機能を果たし、その人のニーズに合ったプランを立て、訓練メニューを提供してくれます。

https://www.nittento.or.jp/

入ってすぐの1階フロアーの「わくわく用具ショップ」には、音声で時間を教えてくれる時計、体温計、体重計、血圧計。黒字のノートに白いマジック、黒いまな板(確かに白いまな板に白い大根では見えにくいですが、黒いまな板だと見えやすい)。点字を付けてあるトランプやルービックキューブまでありました。

テレビのような「拡大読書器」は下に置いた雑誌の文字が100倍にまでも拡大し、くっきりと見えます。

http://www.asakuramegane.com/custom1.html

 

これは障がい者認定をうけていれば、自治体からの給付制度対象になっています。

 

視力が落ちても音声変換してくれるアプリを入れたパソコンや、パソコンやスマホの画面が黒字に白の文字で表現されていれば(色反転機能)を使えば、使いこなすことも可能で、インターネットでさまざまな情報を得ることもでき、その使い方も日本点字図書館は教えてくれるのです。また歩行訓練士はどこにでも訓練に来てくれます。

 

このような福祉機器があることや、丁寧な個別対応の訓練があることを初めて知り、感銘を受けた私ですが、中途視覚障がい者の方々はこのような情報を得られているでしょうか。私たちの暮らす城南地区にはこのような施設はないので、よほど積極的でないとここまでは出かけないのではないでしょうか。

すばらしい機器が開発されてもその情報が必要とする人に届かなくては何にもなりません。特に視覚障がいのある人は情報障がい者とも言われます。自治体の窓口がもう一歩踏み込んで情報提供に努める必要があると考えました。

 

ロービジョンケアに力を入れている眼科医がこう言われていました。ほとんど視力を失った人に「何が見たいですか」と尋ねると「富士山が見たい」「孫の顔が見たい」と言ったそうです。そこで、写真を持ってきてもらって拡大読書器で、写真をみてもらいました・・・するとその方は涙を流して喜んだそうです。それがきっかけで、福祉機器を使ってのロービジョンケアに力を入れるようになったそうです。

 

多くの人が、優れた福祉機器の恩恵を受け、訓練の機会を得られるようにするべきです。

その人の能力が最大限に生かされて生活できるように、あるいは、それまでの仕事の継続ができるように就労支援にも力を入れるべきです。

このような思いから第4回定例議会での質問につなげました。

 

以下は、生活訓練などの相談に応じてくれる機関です。

 

https://www.nittento.or.jp/ 日本点字図書館

https://www.thka.jp/ 東京ヘレンケラー協会

https://www.normanet.ne.jp/~tomou/ 東京都盲人福祉協会

https://spot-lite.jp/tils/ 東京視覚障害者生活支援センター